• 波ゆさぶって

    2011年2月23日 update

    肌に触れる心地よい風、覆いかぶさった厚い銀の雲、
    時間はもう6時。
    湖のほとりに座り込む。
    とても穏やかで比較的躍動のない波が、ヒカリの粒子に溶け合っている様をずっと眺めていると、
    少しせっかちな趣きで、目に見えない奥の部分が開放する。
    是れ、波、トランス的瞬間である。
    私は刹那主義ではないが、時として心が束縛される瞬間がある。そして色んなことを考える。
    その考えは展開し、きりんの進化について、はたまた人が服を着る理由についてまでも・・・
    大昔の人はなぜ洋服を着ようと思ったのだろう。
    なぜ私はうたを歌いたいのだろう。と考えた高校時代を思い出す。
    ちょっと青っぽい話題になってしまったが、トランス的瞬間は私の中の深いところで生まれるのだ。
    気付こうとしていないだけで、その辺に転がっている瞬間。私はトランス的瞬間にはみ出した。

    執拗な湿気のためくしゃみのとまらないこの季節。
    体が何かに反応するように、私が「これかわいい」と衝動買いするように、
    「起こるもの」は果てしなく近くて遠い。流動していてつかみどころの無いもの。なんだか憧れる。
    でも、理由なんてわかりません。
    わからなくていいんです。

    ——————————————————————

    (散文)より 2001年

    私が22歳の頃にWEBで公開していたもの。
    当時読んだことがある人もいるかもしれないけれど、
    私自身の記録のためにも時々ここに記しておこうと思います。


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