• ライブとショウ

    2003年12月5日 update

    ニールヤング、ロザリオス、シャンソン、ブロンディ-プラスチックワゴン、江守徹の羅生門、ピートベスト、梅ちゃんのディナーショー、などなどなど、ツアーやキャンペーンなどの合間を縫って(メンバーの快い協力もあって)ここ2ヶ月ほどの間に割と色んなライブやショウを見た。
    とにかく、生で、肌で感じるその感覚が好きなので割と頻繁にライブやショウに足を運ぶのだが、とにかく今回印象的だったことが2つある。

    1つは江守徹の「羅生門」。
    かなり前から朗読で全国を廻っていらっしゃるようで、これまで谷崎潤一郎とか、色んな作品の朗読を色んな音楽家とコラボレートしながら共演されてきたのだそうだ。もちろん、朗読は素晴らしかった。「羅生門」の他に「蜜柑」「ハンケチ」も朗読され、役者というもののなす職人技に感動したのであった。今回も朗読に彩りをつけるため、能楽との共演があったのだが、その能楽の方の話がとてもとても興味深かった。
    まずは笛。もちろん技術的な効果はもちろんであるが、3種類の笛を使い分け、激しさや、柔らかさを演出しているのだそうだ。1本1本音を鳴らしてその違いを示してくれたので、とても分かりやすく、納得。
    そして、鼓(つづみ)。これは馬の皮でできていて開演前にまずは乾燥させてピンと張った音をだしている。だが、日本は湿気国なので、やはり1時間も2時間もたつとだんだん音が変わってくる。そうするとその鼓の音は変化さえも自然の流れとして、お能の盛り上がりのピークと共にだんだん効果をあらわしてくるのだ。しかも、「よ~」とか「ほ~」とかいう声なども開演前に発声や喉ならしなどせずに、お能の流れと同時にだんだん調子が良くなったり、ちょっとかすれて味が出てきたりしてくるそのものを楽しむのだそうだ。つまり、最初から演出というものが全くなく、声や楽器の調子の出てくる変化そのものを楽しむのだそうだ。
    これには驚愕であった。目からうろこが落ちるような衝撃だ。
    これまで何度もお能を見たことがあるが、独特の間で客席を魅了するその能楽の裏にはこんな哲学が存在したとは!
    以前友人がくれた観世栄夫が世阿弥の風姿花伝を語っているテープを思い出した。

    2つ目はシャンソンだ。
    ちょっとしたタイミングからオランダ人でアンティークのボタンでアクセサリーを作っているヘンクにお会いする機会があった。彼の作品はとても有名でかつ全て愛情に満ちた1品ものなのでかなりコアなファンが多いのだが、彼の作品が大好きで集まった数人と音楽好きなヘンクと一緒にシャンソンを聴かせてくれるお店に行くことになった。実は、越路吹雪が大好きでよくCDを聴いているのだが、シャンソンというものを生で聴く機会がこれまでなかったので、とても嬉しかった。
    シャンソンはとにかく喜怒哀楽が美しい。きっと子供時代に聴いても意味が分からずになんとなく雰囲気だけを楽しむのだろうけれど、意味がわかるようになった今、シャンソンの中にある人生という大きなテーマがとにかく美しくて、その意味を充分楽しめる。恋をしてこんな風にあの人思っているのよ、今日はこんな素敵なことがあったのよ。明日はきっとこんなことがあるでしょうね。人生って素晴らしい。本当に素晴らしい。音楽って素晴らしい。

    毎日に感動しつつ、私のワガママに協力してくれるメンバーに感謝しつつ。
    私の全身が音楽であることを強く感じる日々の中で。


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